法学の勉強方法3(初心者~中級者向け)
前回までの記事で、法学の勉強は、とにかく、1周通読することが大切だよというお話をしました。
今回は、1周通読している最中の勉強方法についてお話します。
1 テキストや基本書の読み方について
1周通読している最中は、とにかく、テキストも基本書も、ざくっとでいいので、把握すればオーケーです。
重要な部分については、暗記するくらいしっかり読む必要はありますが、細かな知識については、重視しなくて大丈夫です。
予備校の講義を受講されていらっしゃる場合には、週に○コマなどのペースがあると思うので、そのペースに従えばいいと思います。
多くの方が、予備校の基礎講座を受講されるでしょうから、今後、1周通読している最中=基礎講座を受講している最中として話をすすめます。
2 択一のすすめ
基礎講座を受講している際ですが、まずは、テキストの重要な部分をしっかり読むことに集中するべきです。
その上での話になりますが、この期間中に、択一試験の過去問を一緒に解くといいと思います。
その理由は大きく3つあります。
①重要箇所の把握ができる
司法試験(予備試験も含む)の択一試験では、毎年のように出題されるジャンルと数年に1回しか出題されないジャンルがあります。
例えば、民法の94条などは毎年出題されるジャンルですが、事務管理などはそこまで出題されないジャンルです。
つまり、司法試験の択一試験の過去問を解くことによって、テキストの重要な部分を把握することが可能になります。
そうすると、必然的に、重点的に復習するべき箇所が把握できるので、択一試験の過去問を解くべきなのです。
②択一を解くことによって理解度が深まる
テキストを読むだけだと、どうしても受け身の勉強になってしまいます。
その点、択一を解くことによって、
・勉強した内容を思い出す
・自分の頭で考える
というプロセスを踏むことができるため、理解度が飛躍的に上がります。
③択一が得意になると、司法試験の得点源になる
初心者、中級者の方は、まだイメージが出来ないかもしれませんが、
司法試験の科目のうち、最も点数が安定するのは、択一試験です。
というのは、論文式試験は各科目1-2問のため、苦手な分野が出題されたり、自分が知らない判例が問われた場合には、実力よりも低い点数をとってしまうことがあります。
それに比べ、択一試験は問題数が多いため、知らない問題だけが出題されるということはあり得ず、安定して、実力通りの点数をとることが出来ます。
そのため、択一が得意だと、どんな年でも、ある程度、高得点がとれます。
択一が得意というのは、大きなアドバンテージなので、択一得意になりましょう。
3 択一の勉強方法
択一の勉強ですが、過去問を解きましょう。
択一六法などもありますが、この段階で手を出すものではありません。
4 論文の勉強
基礎講座を受講中に、論文の勉強をするかについては、どちらの意見もあります。
ただ、個人的には、後回しでいいんじゃないかなと思います。
その時間は、択一と基礎講座をしっかり復習することにかけたほうがいいと思います。
なぜなら、基礎講座の段階では、論文の答案が理解できないからです。
度々民法の話をしてすみません。
民法の最初に、意思表示について勉強します。
例えば、虚偽表示があったときは、意思表示は無効となります。
では、論文で、この虚偽表示があった場合、どのような問題と解答になるでしょうか。
「問 XとYは、Xが所有している自動車を、本当は譲渡する意思がないにも関わらず、売買契約を締結し、Yは引渡しを受けた。XはYに対し、いかなる請求ができるか。」
という問題があったとします。
この場合、答案としては、
「Xは、Yに対し、所有権に基づく自動車の返還請求をすることが考えられる。もっとも、Xは、Yに自動車を売却しているため、既に、自動車の所有権を失っているのではないか。」
という趣旨の問題提起するのが通常ではないでしょうか。
しかし、この問題提起は、所有権についての勉強をしていないと、何も理解出来ないわけです。
所有権は、比較的早めに勉強しますが、Yが自動車を転売しちゃっていたら、かなり後半に勉強する不当利得の知識がないと問題提起できないわけです。
つまり、論文は、基礎講座の全ての知識がないと理解できないので、基礎講座と並列して勉強しても、習得度が低いと思います。
なので、この段階で論文の勉強する必要はないと思っています。
まとめ
基礎講座をしっかり受講して、択一を解きましょう。
この段階で論文の勉強をしても混乱するだけだし、嫌になってやめたくなります。
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